「そ、そんなの、ぜったいやだからねっ!!」

「なんで?朋、好きだろそういうの」


少し意地悪な顔で笑う彼氏に、何も言えなくなる。

好きなわけない。

ナイトショーで、映画を見てるあいだに、ろ、露出なんて。

見られたらどうすんのっ!

不安で仕方ないし、やりたくない。

はず、なのに。

ああ、もう圭太と付き合ってから自分がどんどん変態になってる気がするよ


何も言えないわたしに圭太はにこにこ笑いながら、諦めなって、大丈夫、見られやしないよ。と言う。

お互い一人暮らしの社会人だし、遅くなることになんの問題もないけど。

遅い時間まで映画館にいるなんてことが初めてで、どうなるのか見当もつかない。

人、多くないといいな

そう思いながらも、どこかで期待してしまっている。

見られたら、どうなるんだろう

淫らな妄想に、少しだけ身体が熱くなった。


圭太は意外にも、映画館の右後ろの席を選んでくれた。

そこならあんまり目立たないだろ?って。

優しいのか意地悪なのか、ほんとわかんない人だなぁ

ちなみに圭太はわたしの服装まで指定してきた。

膝上丈のミニスカートに、前がジッパーになってる上着、だけ。キャミやストッキングはNG

なんかもう自分自身が、やる気満々、て感じで、こう恥ずかしいなぁ、もう

圭太に手を引かれながら飲み物を買い、開場を待つ人の列に並ぶ。時間が遅いせいか、お客さんのほとんどが男性のようだ。

他愛のない話をしながら、圭太は指をにぎにぎしたり、手のひらをくすぐってくる。

ああもう始まってるのか

圭太の指が動くたびに意識してしまうのがわかって、わたしは思わず俯いてしまった。

場内は50人くらい入る大きさで、20人くらい他のお客さんがいるみたいだった。

わたしたちの周りはすかすかで、ほとんどが真ん中のあたりに集まっている。

これなら、あまり見られなくてすむかも

ほっとしていると、圭太がそっと耳打ちしてきた。


「朋、トイレで下着脱いできてよ上も下も、両方」

「なっ!!」


思わず大きい声が出てしまいそうになり、あわてて周りを見る。

まだ始まらない場内は明るく、クラシックか何かの音楽が小さく流れているだけで、話し声はわりと聞こえてしまう。


小声で拒否するけど圭太は言い出したら諦めない。

暗くなってからでいいから、お願い!なんて言われたら

わたしは半ば諦めに近い気持ちで席を立ち、トイレで下着を脱ぐことにする。


トイレの個室とはいえ、公共の場で下着姿になることも、ましてやそれを外すなんてことも初めてでドキドキして。

パンツを脱ぐ時あそこが少しぬるついているのがわかって、わたしは一人で恥ずかしさに悶絶していた。

嫌なのに、嫌なはずなのに

これからのことを想像してしまって、だめだ。

わたしめちゃくちゃ期待してるんだってことが、嫌でもわかってしまう。


席に戻ると場内が暗くなり、CMが始まっていた。


「おかえり」


そういう圭太の顔は、さっきよりもにやにやしている。


「ちゃんと脱げた?」

「あ、ちょっ」


圭太が指定した膝上のミニスカートの裾を、突然圭太がぴらっと捲りあげる。

いきなりのことに思わず手でスカートを押さえて、両足をきつく閉じる。

すると不満そうに圭太がわたしを見て

耳に、噛み付いてきた。


「ぅ、ひゃっ」

「いいじゃん、見せてよ朋の可愛いとこ見たい」


耳たぶを唇ではむはむしながら、そんなことを言われて

思わず目を閉じて、身体から力を抜いてしまう。

その隙にスカートの中まで圭太の手が入ってきて、太ももの付け根から下腹部まで手のひらでなぞっていく。


「んっ」

「えらいえらい、ちゃんと脱げたね。じゃ、ほら少し足広げて」


恥ずかしさに圭太の顔は見れない。

精一杯の抵抗に、圭太と逆の方を見ながら、少しだけ、ほんの少しだけ、足を開いた。


「ほら、もっと」

「っ!!!」


突然がばっと圭太の両手に足を大きく広げられて、思わず出そうになる悲鳴を両手で抑える。

周囲を確認映画がいつの間にか始まっていて、誰もこちらは見ていない。

見てはいない、けど。

映画の光が思ったよりも場内を明るく照らしていて、振り返られたら絶対バレちゃう。

そのバレちゃうかも、て、感じが。

ああ、だめだ。

わたし、圭太のせいでホントの変態になっちゃってる、気がする。


圭太はわたしの足を両手で広げたまま、何もせずにただ、じっと、わたしの恥ずかしいところを見ているらしい。

もう、ほんと、やだ。


ぞくぞく、するっ。

その感覚を自覚した瞬間、トイレからすでに溜めていた液体が、つぅと、溢れてきたのがわかった。

自分のものだっていうのに、その感触にすら思わずあそこがひくついて、腰が揺れた、のも。

恥ずかしさに両手で口を抑えたまま、少し前かがみになってわたしの両足を抑えている圭太の肩のあたりに、顔を埋める。


「すげエロい」

「ば、かぁっ」

「あそこ、ひくひくしてる。わかる?」

っばか!」

「クリ、大きくなってきてるよ」

「言わなくていいっ」

「ほら、見てみ?いつもより可愛くみえる」

「圭太のばかぁっ」

「触ってほしい?ここ」


言いながら、圭太が片手の指先で、ちょん、と、クリをつついてきた。


「───っっ!」


声を出さないように、圭太にしがみついて、我慢する。

やばい。

これまじで、やばい。

圭太の指が、つんつん、とつついたり、下からすくい上げて、弾くように動いてる。

その動きで、クリが、圭太の言う通りいつもより、大きくなっているんだと、思い知らされる。


「けぃた、それ、だめいじっちゃやっ」

「やばいなぁ」

「なにがっ!?」


圭太の言葉に、思わずもう一度周囲確認してしまう。

しかし、特に誰かがこちらを見ている様子はない。

よくよく考えれば圭太はわたしの胸のあたりに顔があって、周りが見えるわけないんだ。

ということは、さっきのセリフは


「この可愛いクリ、見せびらかしたい」

はい?」

「これ、俺のだって、自慢したい」


何言ってるんだこの人

嫌な予感がしつつそう問いかけようとしたら、突然圭太が


「朋、俺の膝に座って」


と、自分の膝をぽんぽんと叩いた。


んな、い、嫌だ

「はいはい拒否は許しませーん」

「────っっ!!??」


嫌な予感しかしない提案を拒否すると、突然上の服を胸までがばっとたくし上げられた。

さっきトイレでブラを取ったわたしの胸が、スクリーンの光に照らされる。

下半身と違い、他人からすぐ見える場所の露出に羞恥で頭が沸騰しそうになる。

急いで服を直しながら、圭太を睨むと、


「次は脱がすよ?ほらおいで」


悪魔の笑みでもう一度、自分の膝をぽんぽんと叩いた。

前開きの上着だけ、は、防御力が低すぎる。

諦めて、圭太の膝に座る。


座ってみると、視点が高くて椅子の背もたれで隠れていた腰のあたりまでが、前から振り返ったら見えるようになる、みたい。

うわぁもうほんと、嫌な予感しかしない


圭太の手で座る位置と足の位置が調整されて

わたしは、圭太の両足を挟むように、足を広げ、体は圭太に預けるように

つまり、わたしは、大事なところをスクリーンに向けて突き出すような格好をさせられた。


目がチカチカする。

前の人の頭が、今にもふと振り返ってこっちを見るんじゃないかと思えて

腰が、震えた。


「あー、誰か振り向かないかなぁ」

「ゃ、やだよ

「朋の可愛いクリトリス、こんなに尖って触ってーって言ってるのに」

「ん、ぁっ」


圭太の指が、甘くゆるゆるとクリを撫でる。

じんわりと、腰の奥から湧き上がる快感に、思わず声が漏れた。


「見えようが足りないのかな?」

「っ!?え、ぁ、ちょっんぁあっ」


声と同時に、圭太の両手がわたしのあそこを広げて、クリが上に引っ張られる感覚がする。

普段外気に触れることのない場所に、少しひんやりとした空気が当たって、思い切り拡げられているのがわかった。


隠すものの無くなったクリにも外気が触れてもう、それだけでいきそうなくらいやばい。

わたし興奮、してるっ!


「ぁーほんと、かわいい」

っん、ひ、ぅっゃ、ぁっ」


拡げたまま、指先でクリを左右にぬるぬると転がされる。

ぁ、あ、もう、だめ


「け、ぃた、けーたっや、ぁ、あぁああっ!」

「ぁ、ちょ、朋、声でかいっ」


我慢出来ずに声を上げてイってしまったわたしの声と、それに焦った圭太の声が、場面が変わる瞬間の僅かな静寂に響いて──


何人か、振り向こうとした瞬間、突然圭太が立ち上がった。

前に落ちそうになったわたしの手を引いて、圭太は急いでロビーに出ていった。



あんだけ見せたいとか、見せびらかしたい、とか、言ってたくせに、見られると焦るんだ、って思ったら。

なんか、圭太がすごく可愛く見えた。

だからついつい、からかっちゃったんだけど。


帰りの電車の中で、ものすごく後悔させられました


露出ってそりゃ、ちょっと、興奮するけど。そこは、まぁ、認めるけど。


見られるか見られないかが、好きなのであって。

堂々と見せるのは、なんか違う。


って言うと、圭太は露出の何たるかが朋にもわかってきたかー、って。

だめだ、このままじゃもっと、変態にさせられてしまう。


って、わかってるのに

次はコンビニにお買い物、とか、聞いて。

身体の奥で、ずくんって、疼くようなこの感じ。

きっと、もう、戻れない気がする。